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五感で感じるエッセイ『イン・ラケ’ッチ!』  白川ゆり

6、そこらじゅうが夢の国 ―東京―
丸の内ハロウィンのおばけカボチャが姿を消した途端、街は一気にクリスマスモードに変わる。そして、キリスト教のクリスマスを楽しんだ後は、大みそかに仏教の寺で鐘を突き、新年には神道の神社にお参りに行く。
その節操のなさを批判する人もいるが、世界中の楽しいものやおいしいものを受け入れ、アレンジし、独自の文化に取り入れていく。その柔軟性、応用力は日本人の強みでさえあると思う。
そして、私もそんな愛すべき不埒な日本人の一人である。

20年ほど前、私は、長期滞在していたアメリカ・フロリダで、「本場」のハロウィンとクリスマスを体験した。

ハロウィン当日、夕暮れ。滞在先の貸し家の玄関チャイムが鳴り、ドアスコープを覗くと、白い布を頭から被った幼稚園児らしき子供が数人、保護者と一緒に立っていた。小さなおばけたちが声を揃えて言う。

「TRICK OR TREAT!」
(お菓子をくれないと魔法をかけちゃうぞ!)

「かわいい〜」

私たちは、予め用意してあったチョコやキャンディーを彼らにどっさりあげた。
「本当に来るんだね」
「なんか、楽しいね」

しかし。

その後、来るわ来るわ。保護者付きの小さなおばけ集団が次々とやって来てチャイムを鳴らす。カゴいっぱいにあったお菓子はみるみる減っていき、あっという間に底を尽いた。私たちは急いでドアに鍵をかけ、リビングの電気を消し、それぞれの部屋へ引き揚げた。居留守である。

夜も更け、子供たちの気配がなくなった頃、外出していたもう一人の仲間が放心状態で帰って来た。
「ショッピングモール、すごい事になってた。赤ちゃんも大人もおじいさんもおばあさんも、お客も店員も、みんな仮装してた。あたし、仮装してなくて逆に浮いた」

その日、私たちは本場の本気を体感した。みんな、人生をエンジョイすることに「本気」なのだ、と。

スカイツリーそして、クリスマスシーズンの到来。チカチカ光る大きなサンタクロースの人形や、色とりどりの電飾を張りめぐらした個性豊かなイルミネーションが家々を飾っている。街灯が少なく、普段は暗い住宅街が、この時ばかりはあちこちで明るくキラキラと輝いている。
ハロウィンが、自分自身をデコレートする動のお祭りなら、クリスマスは静のお祭り。町中が、静かに穏やかにその日を祝っていた。

この20年で、東京の街にはさらに新しいビルが建ち、さらにぎゅうぎゅう詰めになった。ハロウィンには、仮装した人々が街に溢れ、大混雑し、ニュースになった。クリスマスイルミネーションも洗練され、あちこちでファンタジーの世界を創りだしている。

冬の東京は、そこらじゅうが夢の国。
それは、心をひととき温める小さな魔法。

さあ、出かけよう。人でぎゅうぎゅう詰めの東京は、夢もぎゅうぎゅう詰まった街なのだ。ライトアップされた街を「本気」で思いっきり楽しもう。



 

[白川ゆり プロフィール]
日本大学芸術学部映画学科を経て、WALT DISENY WORLD EPCOT−CENTER JAPAN PAVILIONトラディショナル・ダンサーオーディションでグランプリを受賞、渡米。帰国後、演劇ユニット「プロジェクト・ミッション」を結成。1998年、シアタートラムにおいて、旗揚げ公演「HANDS」を上演。以後、ほぼ全作品の企画・脚本・演出・出演を務める。 FMラジオ 『10NIGHTS STORIES』、ニッポン放送『Bitter Sweet Café』、ネット配信ドラマ等の脚本を担当。また2012年より、マヤ叡智教導委員として活動。古代文明の教えを次世代に継承することを目的に、ワークショップ等を開催している。

 



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