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47エッセイコラム

中東は異文化の国。
実は異なった国から来た様々な人たちが持ち込んだ文化の国なんだ。(後編)
 MIDORI

アブダビ

日常会話では肩書にとらわれず上司も部下も互いにファーストネームでフランクに会話ができるという海外の習慣は知ってはいても、実際にそれを体験するとカルチャーショックでもある。またこのラフさが非常に居心地いい。

はるばる日本からこの町にやってきた私に、まったく堅苦しさを感じさせない受け入れ方ができる会社に、日本よりかえって居心地の良さを感じられた。

最後は、私がこれから一日のうちで最も長く時間を過ごすことになるセールスオフィスに案内された。すでにそこには4人の同僚がいた。
紹介されたのはシリア人の「汗かき」バッサン(Bassam)、チュニジア人の「生真面目」アマール(Amal)、フランス人の「ムッシュー」イブ(Yves)だ。 そしてオフィスマネージャーで事務仕事一切を切り盛りするのが、スリランカ人のスラヤ(Thraya)だ。様々な国籍の人が一緒に働く、それがこの国の素敵なところだ。

オフィスの全員から歓迎の言葉のシャワーを浴びせかけられているところに、営業部部長のイハブ(Ihab)が入ってきた。見るからに俺様はボスだという態度だ。 決して第一印象は良くない、というより確かに印象は悪い。オフィスは一瞬にして北国の誰もいない氷の湖のように、シーンと静まり返った。すでに同僚三人は何事もなかったように平然と席についていた。それほどイハブはこの中で最高の権力者で恐れられている存在なのだ。
性格はまだ知らない、もしかするとすごくいい人なのかもしれない。しかしこの高圧的な態度ときつく聞こえる語調が恐れを抱かせ、私は一瞬にしていまでで一番苦手なタイプの人だと感じた。

鼻の下に髭を一の字に生やし、タレントの東野幸治のようなチリチリで硬めの張り付いたような髪型だ。イハブはエジプト人だ。

このオフィスは2年前に建て替えをした新しい建物の2階にある。とてもきれいで気持ち良い状態にメンテナンスされている。その一階の医務室には、責任者で勤務医のエマ(Emma)が、このホテルの開業以来すっとここで仕事をしているそうだ。 フィリピンで暮らしている高校生の息子が一番の自慢のエマは、職場のお母さん的な人だ。パワーあふれるフィリピン女性だ。

初出勤の日がそろそろ終わろうとしている夕方に、やっと人事部長を紹介された。
ミスター・ヌール(Mr. Noor)は、「はるばるアブダビに来てくれたんだね、大歓迎していますよ。」と私をハグして暖かな笑顔で迎えてくえた。温厚そうなミスター・ヌールもエジプト人。やっぱり鼻の下に髭を生やしている エジプトの男の人はみんな同じ形の髭を生やすのかな。 同じエジプト人でもセールスオフィスのイハブとは全然違う。

この一日の終りに、セールスオフィスの仲間三人がスタッフカフェテリア(従業員食堂)に誘ってくれた。カフェテリアでは数名のスタッフが各テーブルにかたまって和やかに過ごしていた。ほとんどのスタッフはインド人、スリランカ人、フィリピン人のようだ。そんな従業員達の出身国に合わせて、カフェテリアに用意してある料理は様々な国の日常食だった。けして一流ホテルの従業員食堂だから、一流のまかない料理が食べられるわけでは勿論ない。しかしそれぞれの国で日常に食べられている、カレー、煮もの、焼き物、揚げ物、お菓子などが毎日そこにあるようだ。一度も口にしたことのないほど辛すぎるスリランカのカレー、砂糖でネトネトの甘すぎるフィリピンやインドの揚げ菓子など、美味しい物もあり、食べられそうにない物もある。しかし郷に入っては郷に従えとはよく言ったもので、その後一週間ほどすると食べられるものが多くなり、美味しいと思えるようになっていた。 

ここ従業員食堂では毎月のように、風船やスタッフ出身国の国旗、メッセージなどが壁や天井いっぱいに飾り付けされ家庭的なバースデイパーティーが開かれる。料理の種類も内容も普段よりグレードアップされるパーティーは、ささやかだがアットホームな雰囲気だ。自分に慣れ親しんだ国の味をこの時ばかりは取り合うように皿に盛り頬張る。スタッフ同士も顔を合わせて仲良くなれる。 日本の会社でも取り入れるべきだと感じる。 ホテルの同僚たち

夕方の従業員食堂も仲間と体験し、会社をでる頃は初出勤の緊張はすっかりと解けた。タクシーで無事に家にもどった一日の最後に「これから、がんばろ」と思った。






[MIDORI プロフィール]
大阪府出身、現在は川崎市在住。大学在学中のウェイトレスアルバイト時代にお客さんから言われた「MIDORIちゃんの笑顔とおはようございますがいつも気持ちいいね」の一言が長く海外ホテルの仕事に就くことになるきっかけになったのかも。23年に渡る海外生活はアメリカ、台湾、中東、中国、マレーシア、特に中東のドバイは10年間もの滞在になりました。「迷っているなら、とにかくやってみよう」スピリットで、現在は仕事の傍ら、ある国家試験に向け猛勉強中。好きな食べ物はポップコーンと白ワイン。

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