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47エッセイコラム

春夏秋冬「ゆる伊豆」だより  小林ノリコ

第10回 深海魚のまち戸田で食す深海魚料理

タカアシガニの水槽
タカアシガニの水槽

静岡県沼津市戸田(へだ)地区は、市の中心街から車で1時間ほど走った場所にある、駿河湾に面した港街。
水深2,500mを誇る日本最深の海といわれる駿河湾に面し、古くから良港として深海魚漁が地元の人々の暮らしを支えてきた。そこで採れる深海魚が近年大ブレイクしており、鉄道が通っていないにもかかわらず、全国から戸田を目指して深海魚ファンがやってくる。

代表的な深海魚といえばタカアシガニ。世界最大の甲殻類で、1960年に戸田の旅館がタカアシガニ料理を始めてから、今では戸田のシンボルとなっている。また、メギス(沖ギス)、メヒカリ(トロボッチ)、ゲホウ(トウジン)などの魚は、見た目のユニークさと淡白な美味しさがあいまって、タカアシガニをしのぐ人気だ。
深海魚は鮮度の低下が早いので、一般の流通に乗ることがない。希少な魚として高級料亭へ高額で卸されているものもあるが、冷蔵設備が今ほど進んでいなかった時代は、地元だけで食べられている魚だったという。当時を知っている地元の年配者に話を聞くと、「子どもの頃から日常的に食べていた魚が、なぜこんなに人気なのか不思議」と、ちょっぴり困惑気味だ。

深海魚を触る
深海魚を触る

戸田地区で常時深海魚料理を出している飲食店は、全部で7件。タカアシガニが看板メニューという店は多いが、手ごろな値段で気軽に食べられる深海魚料理は、ツーリング客や家族連れに人気が高い。
「深海魚は刺身で食べても美味しいけど、揚げ物や煮つけにしたほうが、白身の美味しさがグッと引き立つんだよ」と、地元の飲食店の方が教えてくれた。私は刺身が大好きなのだが、なるほど、火を通すと白身のうま味が噛むほどに感じられて、ご飯やお酒が進む。地元の人が勧めてくれた食べ方を試して、新しい味を知ることができるのも、旅の醍醐味だ。

お昼前のオープンから夕方まで、通し営業している店がほとんど。「ほかの伊豆の街でランチタイムを逃したら、ぜひ戸田へ来てほしいからね」と、飲食店の店長さんがニコニコと語ってくれた。聞くところによると、タカアシガニを手に持って記念撮影させてくれる店まであるそうだ。
戸田が、沼津市街や伊豆のおもな観光地から、かなり離れた土地だというデメリットを、少しでもメリットに変えようとしている。旺盛なサービス精神が、深海魚ファンを「戸田のファン」に変えているのだと感じた。

あまり知られていないが、深海魚は、毎年5月10日頃〜9月10日頃までが禁漁期間(2017年の今年は少し早目の9月5日から解禁になった)。禁漁期間でも深海魚料理を食べることはできるが、刺身ではなく揚げ物などで食べることができるそうだ。また、悪天候で船が出せない場合も同様。
現地で新鮮な刺身を食べたいのであれば、この2つの点をチェックしてから出かけたい。

止まらない深海魚人気に行政も注目し、2017年に入って戸田で大きな動きがあった。深海魚をメインとした観光サイトが全面リニューアル。同年4月に戸田の情報発信施設「ヘダトロール」がオープン。7月にはココリコの田中直樹さんらを監修者に迎え、「駿河湾深海生物館」がリニューアルオープンしている。
今や「深海魚の聖地」とまで言われている戸田。知って楽しく、見て驚き、食べて美味しい、三拍子そろった深海魚は、グルメなら一度は食べるべき食材だ。

魚重食堂のゲホウの刺身定食
魚重食堂のゲホウの刺身定食



【小林ノリコ プロフィール】
伊豆在住フリーランス・ライター/伊豆グルメ研究家。東京の編集プロダクション勤務を経て、2005年から地元伊豆でフリーランス・ライターとしてのキャリアをスタート。2014年より静岡県熱海市を拠点に移して活動中です。47エッセイでは、四季折々の伊豆(たまに箱根)の風景や食を中心に、あまり観光ガイドに載らないようなテーマを、ゆる〜くご紹介していきます。


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