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47エッセイコラム

春夏秋冬「ゆる伊豆」だより  小林ノリコ

第11回 伊豆の国市発「国清汁」をメジャーにしたい!

伊豆の国市韮山といえば、2015年に世界遺産に登録された「韮山反射炉」が有名だ。その反射炉の近くにある古刹・国清寺(こくしょうじ)には、600年以上前から「国清汁(こくしょうじる)」という汁物が伝わっている。

鎌倉時代の建長寺発祥の「けんちん汁」をルーツに持つ精進料理で、修行道場で大衆に出した残りの野菜の皮や根などの部分を油で炒め、具だくさんの汁として食したもの。「けんちん汁」は醤油仕立てだが、国清汁は味噌仕立てである。

作り方は、大根・人参・ごぼうなどの根菜類を油で炒め、だし汁で煮る。豆腐を入れ、味噌を溶かし入れて出来上がり。味に深みを出すため、米のとぎ水を入れることもある。

“滋味”あふれる料理だが、はっきり言って、めちゃくちゃ“地味”なご当地グルメだ。 

国清汁の調理例

しかも、地元の方々が国清汁を「ソウルフード」として盛り上げるプロジェクトを立ち上げるまで、地元でもほとんど知られていない料理だった。理由は数多あると思うが、「あまりに地味過ぎて推しどころがわからない」というのが最大の原因かもしれない。地元のプロジェクトでも、素材に地元産の野菜や味噌を使ったり、反射炉で販売されているグリッシーニに似た「カノンパン」を添えたりして特徴を出し、伊豆で開催されるイベントなどで提供している。

そのほか、地元の小中学校の給食で郷土料理としてメニューに上ることもあるが、いつでも国清汁が味わえるご当地の飲食店はまだまだ少ない。地元の人が日常的に国清汁を食べる機会を増やし、市内や周辺市町での認知度を高めることが急がれる。

さて、国清汁誕生の地・国清寺に話題を移そう。

国清寺は、1362(貞治元)年、室町幕府の有力者・畠山国清が創建したとされ、1368(応安元)年に関東管領の上杉憲顕が本格的な寺として修築した寺である。

室町幕府三代将軍・足利義満の時代には、関東十刹(じっさつ/関東の十の大きなお寺の六番目)に加えられたほど。仏殿には、鎌倉時代慶派の作による釈迦如来像が安置され、境内には開基・ 開山の墓や、旧楓林庵の子育て地蔵などが残されている。 また「伊豆88ヶ所霊場」の第15札所にもなっていて、「伊豆88遍路」の復活プロジェクトも行われている。

この寺には天狗伝説があり、実在の人物・一兆和尚と天狗にまつわる話が、懐かしのアニメ番組『まんが日本むかしばなし』でも取り上げられた。本堂の背に広がる森は、本当に天狗が現れそうなほど霊験あらたかな空気に包まれている。厳かで神秘的な雰囲気の中にいるだけで、心が穏やかになっていくよう。観光で訪れて損はない、穴場的な名所だ。

国清寺の本堂

2020年には、オリンピックの自転車競技会場となる伊豆。海外からの観光客のなかには、ベジタリアンの人や宗教の関係で動物性の食材が食べられないという人がいる。精進料理・国清汁と国清寺は、国際的な祭典の「おもてなし」として一役買うことができるのではないだろうか。

すごく美味しいのに、すごく惜しい!そんなご当地名物料理・国清汁。どうにかして知名度を高め、メジャーな存在にならないものか……伊豆に住む者としては何とも、もどかしい問題である。




【小林ノリコ プロフィール】
伊豆在住フリーランス・ライター/伊豆グルメ研究家。東京の編集プロダクション勤務を経て、2005年から地元伊豆でフリーランス・ライターとしてのキャリアをスタート。2014年より静岡県熱海市を拠点に移して活動中です。47エッセイでは、四季折々の伊豆(たまに箱根)の風景や食を中心に、あまり観光ガイドに載らないようなテーマを、ゆる〜くご紹介していきます。


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